スパークデポ肉盛り
加工技術
2020.02.25
テクノコート株式会社の製品である、デポシリーズの中からスタンダードタイプである「スパークデポ」についての話です。
金型は大変高価なオーダーメイド品であることがほとんどです。
金型の磨耗や故障なので具合が悪くなったり、少しぐらいの形状変更が必要なとき、そのたびに作り直していては、とてもコストパフォーマンスが悪いので、金型部品を修理や改造をして継続的に使い続けることは一般的なことです。
修理や改造をする際に、金型が欠肉状態になっている部分に対して、溶接にて欠肉部分に溶接棒(溶加材)で肉盛りをします。
金型の溶接は高品質であるTIG溶接で行います。
高品質な溶接と言っても、必ず「ヒケ」は発生します。
「ヒケ」とは、 溶接した部分との境界が、凝固するときに表面が収縮して出来てしまう小さなくぼみ(へこみ)のことを指します。
ヒケの部分は金型の欠肉部分になる訳です。
当社ではこのヒケ部分を、手仕上げでサンドペーパーや砥石を使ってボカシ作業をして、見た目をきれいに仕上げることが多いのですが、厳密にはヒケが出ている部分を「ごまかしている」と考えることもできる訳で、確かに金型寸法は微細に欠肉していることはあきらかです。
ヒケが発生した部分を更に溶接したことろで、新たなヒケが発生してしまい、いつまで経ってもいたちごっごは終わりません。
前置きが長くなってしまいましたが、溶接によってできたヒケの微細な欠肉を、肉盛り量は微量ではあるものの、ヒケを発生させず肉盛りができる装置として「スパークデポ」が非常に有効になってきます。
ヒケによって発生する、金型の寸法異常が許されない場合や、キャビティ形状の立壁部分を溶接した際に発生するヒケでアンダーカットができてしまうことが許されない場合などには、とても重宝する装置です。
「スパークデポ」がヒケを発生させない理由として、 スパーク時聞が極端に短く、充分な熱拡散が行なわれるので、処理部に熱が蓄積せず、低熱入力が実現できているそうです。
事実、スパークデポで肉盛りをした直後に、溶接部を直接手で触れても熱くはありません。
低温入力でありながら、ワーク表面下に強固な拡散層を形成する為、高強度密着を実現し、処理後に剥離しません。
詳しくはこちら↓
テクノコート株式会社