刃先交換式カッタの修理
エッセイ
2020.11.13
切削工具は使っていくうちに、磨耗や破損をしますので、半永久的に使える訳ではありません。
硬い金属を切削するための工具なので、材質は硬くて高価です。
従って、工具は太くて長くなるほど非常に高価になっていきます。
フライス加工で使用する回転工具でも、刃先交換式のものがあります。
工具のホルダー部分は高価になりますが、インサートが磨耗したら取り換えて使用することができるので、ホルダーが壊れない限りはインサートの取り換えで半永久的に使い続けることができます。
しかしながら、被削物に硬い部分があったり、予想外にたくさん加工代が付いていたり、予測していたより工具の磨耗が進行していたりと、思いもよらない事故が発生し、インサートが破壊されホルダーも損傷してしまうことがあります。
ホルダーが再起不能なほどの損傷が発生してしまった場合は諦めるしかないのですが、多少の損傷ならそのまま使い続けることが多いのですが、インサートの据わり面が少なく、インサートがもろくなってしまい本来の性能を発揮できず、工具寿命が短くなってしまい、遅かれ早かれホルダーは使い物にならない状況になることがほとんどです。
今までならば新しいホルダーに更新していましたが、ダメもとでホルダーの修理を試みてみました。
損傷部分をTIG溶接で肉盛りをするには難易度が高いので、超高精度肉盛り溶接機で肉盛りをして、手仕上げにて修理を実施しました。
修正したホルダーを使って、実際に加工をしてみました。
インサートの取付け精度も問題ありませんし、工具寿命はホルダーが損傷する前と遜色ありませんでした。
今回程度のホルダーの損傷は、過去に何度も何度も経験してきたことなのですが「溶接で肉盛り修正してみよう」というアイデアがなかったばかりに、たくさんのホルダーたちを再起不能にしてきたことに改めて後悔をしています。
今後は、多少の損傷だったらしっかりと修理して、少しでも長く使い続けるようにしていこうと思います。