マシニングセンターで穴加工
~ドリル(スタブ形)~
加工技術
2019.09.06
ドリルについての説明
工具メーカー:OSG
型番:VPH-GDS (調質鋼用粉末ハイス スタブ形)
コーティング:WDI
先端角度:130゜(φ13以下)
工具(ドリル)の特徴と当社が選んだ理由
炭素鋼、合金鋼、調質鋼、工具鋼、鋳鉄、と幅広いワーク材に適したドリルで、当社でも頻繁に使用するワーク材を、ほとんどこの1種類のドリルで対応できる。
1種類のみのドリルを使用することにより、工具の管理が容易、ドリルをチャッキングする際の選択間違いをなくす、種類を増やさないことによりドリルの絶対数を減らせるので工具費を抑えられる等の理由によりこの工具を採用することにした。
ドリルの母材が 調質鋼用粉末ハイスで超硬のような硬さはないが、超硬ドリルのような刃こぼれが起きにくいので、マシニングセンターでの無人穴あけ加工でも安心・安全に加工を 行える。
万一、穴あけ加工中にドリル折れが発生した場合、当社では放電加工で折れたドリルの除去をすることがほとんどで、超硬ドリルの場合は放電で工具除去するには、非常に時間がかかるのでこれを懸念してハイスドリルを選択している。
WDIコーティングは、
- 複合多層構造で衝撃にも磨耗にも強いのでドリル加工に向いている。
- コーティング皮膜のクラックが少ない。
- 熱伝導が高いため、ドリル刃先に熱を溜め込まない。
で、安定した穴あけ加工ができる。
その他注意点
ドリルの振れは 0.02㎜ 以下に抑える。
加工時の「回転数」「送り速度」は、カタログ値(切削条件表)を参考にして、一部当社で調整しており、ワークの材質によって切削条件を変えている。
固定サイクルは「G83」を使用。
「G83」や「G73」を使用してステップ加工すると、切粉かみが要因だと思われるドリル先端の欠けが、ときどき発生することががあり「G81」に変更しようか現在検討中である。
「G81」に変更しても切削液がドリル先端に十分供給出来ていれば問題はないのだが、横型マシニングセンターは十分な供給が出来るかが心配なためである。
ステップ(Q)は0.5×D(工具直径)としている。(φ8ドリルの場合はQ=4.)
ドリルの再研、再コーティングは社内で行わず、業者に依頼することで安定した精度と工具寿命を実現する。