荒取り効率の判断基準

荒取り効率の判断基準

加工技術

2021.01.14

金型製作の荒取り加工に求められる重要な項目の1つとして「単位時間当たりにどれだけ多くの切りくずを排出しかのか?」があります。

言いかえると「どれだけ効率の良い荒取り加工ができているか?」です。

これをなんとなくの雰囲気ではなく、数値の大きい小さいで表現することができれば効率がはっきりと判断できることになります。

フライス加工における計算式は以下のように計算します。

切りくず排出量(Q)=切削送り(F)×Zピッチ×XYピッチ

簡単に言うとフライス(マシニング)加工の荒取りで切りくず排出量(効率)をあげるには

  1. 切削送り速度を速くする。
  2. Zピッチ(1回に切り込むZの量)を大きくする。
  3. 大きい工具でたくさん削る。

決して簡単な訳ではないのですが、実にシンプルです。

切削送りを速くすると、1刃あたりの送り量(工具の切れ刃部分が1回あたりに進む距離)が大きくなり、切削工具寿命を縮めたり、工具の破損を招いたりするリスクが高くなります。

Zピッチを大きくすると、切削工具にかかる負担が増し、たわみやしなりが発生して加工精度を悪くしたり、工具の破損を招いたりしますし、機械剛性の影響を受けて加工できない場合も発生します。

大きい工具を使うには、工作機械の大きさや剛性が必要になりますので、機械に依存してしまいますし、細かい部分まで加工ができないので、以降の荒取り加工で多くの切削工具を設定しなければならない煩わしさも発生します。

要するに、加工する工作機械の大きさや剛性にマッチングした切削条件を見極めるかが重要になってきます。

使用する切削工具を決めたら、おのずとXYピッチは決まりますので、切削送りとZピッチの割合を調整し、少しでも「切りくず排出量」の値を大きくするように検討することが大切になってきます。

切削送りを速くしても、耐えられる切削工具を選定することも大切な要素になりますので、工具選定にコストを使っても十分回収できると思います。

マシニングセンターでの荒取り加工では、エアーカット(工作機械は動いているけど切りくずは出ていない状態)が少ないカッターパスも重要ですが、これはCAMの種類でコントルールが難しいので、割愛させていただきます。

切削条件で使う計算式についての記事はこちらを参照してください↓

切削条件で使う計算式

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